人脈・関係者理論とは

当然の話ではありますが、競走馬の世話をしている厩務員、調教師、そしてその馬についての取材をしているトラックマンなどは、我々一般人よりもよっぽど馬に近いところで生活を送っているわけで、その馬について普通では入手できないような情報を持っているはずです。関係者の気になる情報に耳を傾けて自らの予想に活かそうというのが人脈・厩舎理論となりますね。

トラックマンの役割

トラックマンとは、競馬新聞の記者、およびスポーツ新聞の競馬担当記者の総称です。トラックマン(以後TM)の主な仕事は、競走馬に関する情報を収集し、収集した情報および自らの予想を競馬新聞やスポーツ新聞の競馬欄において読者に伝えることにあります。具体的にはトレーニングセンターや競馬場において行われる調教をみて競走馬の体調を確認(このとき、調教コースにおける競走馬の走破タイムを計時する者をウォッチマンといいます。)し、さらに競走馬の関係者(おもに調教師、騎手、調教助手、厩務員。ときには馬主や競走馬の生産者も含まれる)に取材をします。また、レース終了後にもレースに出走した競走馬の関係者への取材を行います。

そんな彼らの予想が紙面上に公開されるのは、レース前日の昼過ぎとなります。TMとしてまだ初期の段階には、取材がメインの仕事となりますが、ベテランや、実績をあげるなどして人気のあるTMは、自己の予想理論を掲載していることもあります。その予想理論が自分の中で納得いくものだったりすれば、それに乗るという馬券の買い方もアリでしょう。全てをマネするのがいやならば、もちろん自分の予想と組み合わせてみても面白いと思います。

調教師・厩務員のコメント

ここから派生する感じで、厩舎や調教師のコメントを参考にするという買い方もあるでしょう。普段は弱気な厩舎が、やたらと強気なコメントを発しているようであれば、勝負レースなのだろうと判断して買ってみるという手法もありますね。ただ彼らのコメントを参考にするといっても、所詮は自分のところの馬について話しているだけであって、競馬は他の馬との着順を競うので、相対的な比較は難しいでしょう。強気な厩舎がたくさんあったとしても、最終的に勝つ馬はまず1頭しかいないのが競馬です。それを考えると、強気なコメントをボーダーとするという手は少々疑問です。それよりも、関係者が状態面で不安なコメントを残していたら評価は下げるといった形のほうが実用的だと思います。

あともう一つチェックしておきたいのが、天候や馬場状態に関するコメントです。「雨で馬場が渋ると良くない」とか、「時計のかかる馬場になってくれればチャンスはある」などですね。このあたりはその馬を一番近くで見ている調教師・厩務員がコメントすると思いますが、馬によって馬場適正というのは大事な要素です。快晴のもと、整備の行き届いた馬場で力を発揮する馬もいれば、雨でグチャグチャの馬場になったとたんに普段の何倍も良い走りをする馬もいます。その点で具体的なコメントがあったならば、是非予想へ取り入れてみると面白いと思います。

ヒロシの競馬本
松本ヒロシ
昭和38年京都府生まれ。大学浪人時代に本格的に競馬を開始。
『サンスポ』佐藤洋一郎氏との運命的な出会いを通じ、平成元年『競馬エイト』に入社する。
翌年“覆面トラックマン”として『エイト』紙上に突如出現。
本命から大穴まで分け隔てなく狙う攻撃的な予想で多くのヒットを飛ばし、一躍話題の人となる。
平成7年にその正体を明かし、現在は本名の“ヒロシ”として奮闘中。
ラジオ競馬中継(ニッポン放送)の解説、競馬予想TV(スカイパーフェクTV、BSフジ)、
明日のレース分析(グリーンチャンネル)、ギャロップTV(MXテレビ)出演など、さまざまなメディアで活躍中。

 

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